「隣の幻」
写真は世界を確認するための「窓」の役割と そこに自分が存在していることを知らせてくれる「鏡」の役割を持っている 私の親は厳しい人で、幼い頃から束縛された生活を送っていた その頃は家に一人閉じこもって妄想ばかりしていた いつしか脳内に広がる理想の世界に憧れを感じ、現実世界から距離をとるようになっていた だが、次第に孤独を感じていた私は外の世界を確認する為に写真を撮るようになった 四角く切り取られ、そこに映るものは自分だけの世界で自由な理想の世界が存在しているのだと思った 妄想していた理想の世界が写真とリンクして物質性をもち、この現実世界に立ち現れたのだと感じ、殻に閉じ籠もっていた自分は写真の力で外の世界を初めて感じることができた